OKRの進め方
こんにちは。
大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。
先日の記事でOKRを簡単に説明させて頂きましたので、本日は、OKRを掘り下げてお話ししようと思います。
なるべく、直ぐに取り入れやすいように記事にしようと思っていますので、ご興味のある方はお付き合い下さい。
よろしくお願いいたします。
重複するかと思いますが、OKRとはなんぞや?!から。
【OKRとは】
「Objective Key Result」の略で「目標と主要な成果」を意味し、チーム内で目標を掲げ達成させる為の、目標管理ツールとなります。
そして、その目標はチャレンジングで高く、企業とチーム、個人までが共通認識であることが重要です。
一つのチャレンジングなObjectives(達成すべき目標)に2〜5個のKey Results(目標達成のための主要な結果・成果)でできています。
定性的なObjectivesと定量的なKey Resultsを併せ持つ事がポイントです。
【なぜ、OKRを企業やチームに取り入れるか?】
決して、OKRがGoogleや、Facebookが取り入れている目標管理ツールだから、というわけではありませんよ。
導入するには下記のメリットがあります。
・高い目標を掲げ、共通の目標へ向かうよう全員のベクトルが揃う
Objectivesを立てて全員で共有することによって、協力が増えモチベーションも上がります。全員が同じベクトルを向くようにすることでより大きな成果を生み出せるのです。
また、MBOやKPI・KGIは目標としての指標や評価項目を管理していきますが、目標については管理しません。一方、OKRは定量的なKey Resultsに加え、定性的なObjectivesを掲げることで、常に目標を意識させる事が可能なのです。
・目標への進捗が共有される
前回の記事の表にあるように、目標への共有範囲は「企業・組織全体」となります。また進捗状況も全社員に公開されます。
組織の状況がはっきり見通せて、考えている事をお互いに共有できれば、サポートに入れたりと協力関係が生まれやすくなります。
会社が置かれている状況について幹部だけでなく、社員にもよく見えるようになれば、経営の透明化を高めることに繋がり、企業と従業員との信頼関係を構築することも可能でしょう。
また、企業からチーム、個人までOKRを公開し、繋がりを確認できるようにすることは、全ての人が自分が会社に貢献している存在だと認識できる機会を与えることもできます。
組織の歯車として、機械の一部品のように働きたいと考える人は少ないでしょう。会社や組織にとって自分が重要な存在であり、貢献できていると実感できれば、仕事に充実感ややりがいを感じる事になります。
モチベーションのアップですね。
・重要な事に集中でき、生産性が上がる
自分たちがどこに向かっているのか、というObjectivesがはっきりしていれば、迷うことも少なく、仕事の優先順位も付けやすくなります。
目標達成のために指標を設定することは有効ですが、Key Resultsが多すぎると機能しなくなります。OKRはKey Resultsを2〜5個と絞り込み、集中すべきことを明確にしています。これによりタスク整理が適切なものになり、生産性が上がります。
重要でないタスクに追われ、仕事に忙殺されるということもなくなるでしょう。
・外部環境の変化に素早く対応できる
達成サイクルが四半期と短いため、早めの軌道修正や見直しも可能です。
OKRは3か月毎に目標が設定、見直しされ、週1回のレビュー(面談)にてフィードバックの実行が求められます。
これにより個人個人の学習スピードが加速するため、必然的に組織のスピードも上がります。高頻度のレビューにより、目標が形骸化せず、常に皆で意識することとなります。
VUCAの時代(あらゆるものを取り巻く環境が目まぐるしく変化し、将来の予測が困難な状態)と呼ばれている現代に最適なツールなのです。
【OKRの組み立て方】
1、共通の目標を掲げましょう。
「OKR」の「O」の部分です。
この共通の目標は、ワクワクするものでなければなりません。
組織の目標に自分の目標を重ねられるか、が重要になるからです。
経営者の思う、企業の壮大な夢やビジョンでも構いません。
その壮大な夢やビジョンを元にチームや従業員は細分化された目標を達成していくのです。
「O」はシンプルで覚えやすい、身近な言葉にしましょう。
利益や業績だけが目標になってはいけません。自分たちが、社会の役に立ってると思えるようなワクワクする目標にするべきです。
Oの良い例)
・2年後までに業績トップシェアを獲得する
・顧客ニーズを素早くキャッチし顧客満足度の高い会社にする
・生産性を高めてIT業界をリードする企業になる
・最も使いやすいニュースアプリを作る
・情報社会で人々を幸せに(ソフトバンク孫氏のビジョン)
Oの悪い例)
・売上高◯億円を達成する
・新規顧客◯件を目指す
定量的な目標はOKRのObjectivesに相応しくありません。定量的なものはKey Resultsに設定しましょう。
2、「KR」Key Results(目標達成のための主要な結果・成果)を設定しましょう。
目標をどのように達成するのか?を考慮し、2〜5個の定量的なKRを設定します。
・目標と結びついていること
・計測可能であること
・期限を設けること
・容易ではないが、達成可能であること
・絞り込まれているか
KRの良い例)
・新規事業にて2か月で顧客を〇〇人獲得する
・3か月で一人当たりの売り上げ高を、前年比◯%アップする
・2か月でロードタイムを30%削減する
KRの悪い例)
・新規顧客を獲得する
・既存事業で1人あたりの売上高をあげる
・ロードタイムを短縮する
具体的にいつまでにどれくらいの数値を達成すればいいのかが明確になっていません。定量的でなければKRには不適格です。
ここまで設定できたら、それを企業→チーム・部門→個人へとツリー型で構成していきます。
3、レビュー・フィードバックを行う
OKRではレビューとフィードバックが必要です。
レビューにて進捗管理だけしていては目標達成はなかなか見込めません。
レビューの際にフィードバックを行うことが重要です。
フィードバックでは、結果に基づき、次の行動をどうするのかを決定し、立て直すことが求められます。
・フィードバックはできるだけ早く、公式に時間を決めて行いましょう。
また、OKRでは達成サイクルが3か月という早いサイクルでまわります。その為、レビュー・フィードバックは1週間単位で行うのが理想です。
また、チーム単位と個人単位両方で行うことがベストとされています。
チームフィードバック
例)
【週初めのミーティング(チェックイン)】
週の初めに今週は何をするべきかを確認し、リーダーはチームにエンジンをかけます。議題はできるだけシンプルにし、確認を中心とし、短時間で終了させる事を心がけましょう。
また、ポジティブな言葉でミーティングを締めましょう。
・OKRの進捗状況と今後の見込み
現在のOKRの進捗状況と達成見込みを共有します。この時、チームの「目標」も今一度共有しましょう。
Objectivesを繰り返し伝えることで方向性がブレるのを防げます。
達成が程遠く、困難な場合には見直しが必要になります。
・今週のタスクの確認
OKRに直結するタスクの優先順位を確認します。挑戦的なOKRを達成するには、業務の水準をあげる事が不可欠です。そのようなタスクになっているかを確認します。
【週終わりのミーティング(ウィンセッション)】
今週はどんな結果だったのかを確認し、立て直し策を具体的に決定する。大切なことは、結果にかかわらず、各メンバーが高い目標に挑んだことを賞賛することです。
流れはポジティブ(称賛)→ネガティブ(課題)→ポジティブ(1週間の頑張りを讃える)にしましょう。
・OKRの確認
お互いの「目標」が関連している事を意識し、それを全員が確認できるようにしましょう。
・立て直し
想定よりうまくいかない事も出てくるでしょう。
ここで大切なのは責任を追求することではなく、できていない問題をどのように解決するかを考えることです。仕組みの問題や、他の業務との兼ね合わせの問題も考えられます。
チーム全体で立て直しを図ろうとする事が重要です。
具体的な解決策が出たら、翌週の業務にすぐに反映させます。
・賞賛
挑戦的な目標に向いチャレンジしているので、達成率は低くなりがちです。
達成率が低いと、できなかった事にフォーカスしてしまいがちですが、そうなると否定や叱責が出てきます。否定や叱責されたメンバーは高い目標を掲げるのを恐れ、目標を低く設定してしまいがちです。
それを避ける為、「できた」事に注目し、メンバーと賞賛することが大切です。「できた」を増やすためにどうすればいいのかをチームで考えれる雰囲気作りが重要となります。
個人フィードバック
リーダーとメンバーが個別でミーティングを行う「1on1」が理想です。基本的には週終わりに1度、少なくても2週間に1度は行います。
短いサイクルで定期的に実施するのが、通常の面談と1on1との違いです。
・30分ほどで、流れはチームフィードバックと変わりません。
・短い時間の中、リーダーは的確にフィードバックする為に、何を報告してもらうかを事前に決め、メンバーに連絡しておきましょう。
・メンバーの成長支援のための時間ですので、リーダーが話すのではなく、聞く側にまわります。聞く8割、話す2割を意識しましょう。
・定期的に時間を決めて行わなければ、日々の仕事の忙しさの中で後回しになってしまうので注意が必要
以上がOKRの大まかな流れとなります。
デメリットも記載しておきます。
・OKRは定着までに時間を要すこと。
・達成サイクルが短く、レビューやフィードバックが頻繁に行われるため、少人数で時間を十分にさけない企業には効果を感じにくいかもしれないこと。
・目標を高めに設定しているので(達成率50~60%)、達成できないことでモチベーションの低下を招く場合もあること。
【まとめ】
OKRは企業全体のチャレンジングな目標達成を社内全員で共有し、ベクトルを合わせ進めます。
部門やチーム毎に目標達成水準は50~60%に設定。
この企業目標は「わくわく」するものにしなければなりません。「わくわく」を全員で追いかけ「わくわく」を定着させることが大切です。
そして、振り返り、チーム・個人共にフィードバックします。これを繰り返しながら、個々の能力を発揮させ生産性を上げていくのです。
またOKRは自社に合わせてカスタマイズもできます。例えば、最近ではリモートワークの多い企業が増えています、チームミーティングにチャットツールを使用したり、月に4度の個人ミーティングの半分を対面、半分をzoomにしたりと工夫してみて下さい。
ポイントを抑え、自社に合わせてOKRを磨き上げることで、VUCAの時代に強い企業へと成長させられると思います。
本日は「OKR」の進め方についてお話しさせて頂きました。
大阪事業承継パートナーズでは、事業承継のご相談のほか、OKR作成・運用のお手伝い、また、リーダー育成のお手伝いもさせて頂いております。
ご興味のある方は是非お問合わせ下さい↓
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