BCP(事業継続計画)を策定してみませんか

 こんにちは。

 大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。

 緊急事態宣言、まだ続きそうな予感ですね。

 皆さま、お元気ですか?

 大阪府では、今年に入って今日まで、何かしらの宣言が出ていなかった期間は、1か月もなかったような気がしますね。

 

 こんな時ほど、自社のBCPを見直してみてはいかがでしょうか。

 まだ、策定していないという企業は、一度作ってみるとこをお勧めします。

 BCPは自社を守ることが主な役割となりますが、企業の信頼性を高める上でも有効になります。

 

 

 本日は、BCPの概念からお話していこうと思います。
 

 

 

【BCPとは】

Business Continuity Plan の略で、 事業継続計画のことをいいます。

 企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合、事業の復旧・継続が行えるような計画を策定することです。

 事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続、あるいは早期復旧を可能にするために、平常時に行うべき活動や、緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておくものです。

 また、自然災害だけでなく、事故やシステム障害、通信障害なども含みますので、企業によってBCPの内容は大きく変わるでしょう。

 その為、自社に合ったBCPを策定しなければなりません。

 

 

 

【策定のメリット】

1. 緊急事態に対応できる

 マニュアルなどが何もない状態より、BCPを策定しておいた方がはるかに早く緊急事態に対応でき、事業を早期復旧できます。

 経営面での被害を最小限にとどめられるでしょう。

 

2. 中核となる事業や、優先度が可視化できる

 BCPを策定する上で、どの事業・業務を優先して復旧させるかを決定する必要があります。

 自社として優先すべき重要業務はどれか、経営戦略の見直しの機会にもなります。

 

3. 業務フローが明確になる

事業や業務の優先順位を決定する際、おのずと事業ごとの業務の整理整頓が必要となります。
この時に、無駄な業務はないか、統合できる業務はないか、というところも見ておきましょう。
業務フローを見直す機会はなかなかないことから、BCP策定の際がおすすめです。

 

4. 取引先の信用を勝ち取る

 例えば、災害で工場や流通網がダメージを受けた場合、経営継続に必要な物資の供給がストップすることも予想されますね。

 その際、BCPが万全であれば、供給が止まり、倒産に追い込まれる可能性は低くなり、また、事業の早期復旧を実現させる事が可能でしょう。

 それにより、取引先からの信頼も向上されます。

 

5. 社会貢献にもつながる

 BCPは自社の事業を守るだけでなく、災害時の社会貢献にもなり得ます。

 例えば、食品関連企業であれば食料などの物資を提供したり、ホテルであれば帰宅困難者の受け入れを行うことが可能です。

 非常事態の社会貢献は地域の人が助かるだけでなく、社会から高く評価され、取引先・顧客・投資家にも良い印象を与えるでしょう。

 企業が社会的責任を果たしているという事に繋がります。

 

 

 

【BCP策定のステップ】

1. チームを編成する

 緊急事態時には、自社の様々な部門との素早い連携が不可欠です。BCP策定の際は、各部門から人員を招集し、チームを編成することが理想です。

 

2. 優先する中核事業を特定する

 様々な事業のうち、「会社の存続に関わる最も重要性の高い事業」を中核事業とします。自社において、重要と思われる事業をいくつかあげ、優先順位をつけましょう。

※中核事業の特定に迷ったら、

・自社のビジョン、ミッションに欠かせない事業はどれか

・最も売り上げに貢献している事業はどれか

・法的、財政的な責務を満たす上で欠かせない事業はどれか

・取引先との契約で、損害が最もシビアなのはどれか

 などを考慮して特定しましょう。

 目先の売り上げだけでなく、長期的な利益も含めて考慮する必要があります。

 

3. 必要な経営資源の洗い出し

 中核事業の継続に特に必要な経営資源(人材・資金・もの)を思いつく限り書き出します。その中から災害時に復旧が難しいと思われるものを選別し、それらの資源の対策を優先します。

 

4. リスクや被害の想定

 まず、現状で考えられるリスクを上げてみましょう。

 自然災害・システムエラー・事故・集団感染・情報漏洩など企業によって様々でしょう。

 上げたリスクの中から発生頻度の高いものから対策を練ります。

 次に、実際にこのリスクが生じた場合、中核事業がどれくらいの被害を受けるか想定します。そして、それぞれのリスクに対して中核事業が耐えられるのか、耐えられないのかを把握し、耐えられないリスクに対して、復旧に必要な時間や代替手段を考えます。

 大きな災害であっても、被災地より非被災地の方が広いことが通常ですので、協力企業間での連携も代替手段の1つになるかと思います。

 

5. 復旧時間の目標設定

 復旧の目標時間を設定するのはBCPの中でも最も重要な部分となります。

 中核事業が停滞したままでは、収入が得られない上に、取引の中止や、顧客の信用を失うことになり、会社そのものが存続の危機にさらされます。

 ですので、基本的には、取引先や顧客に迷惑を掛けないことを優先して目標時間を設定します。そのためには、中核事業における取引先や顧客の要請を確認し、許容できる時間を互いに確認しておきましょう。

 

 また、自社の財務状況も考慮しなくはなりません。

 被災時には、取引先への違約金や、災害による損失の補填など、多くの資金が必要になります。事業が停滞したまま、耐えられる時間を割り出し、取引先・顧客と自社の両方を考慮し、復旧目標時間を設定します。

 

 

 

【中小企業においてBCPに組み入れたい項目】

 BCPは大企業から家族経営まで企業の規模に関係なく策定し、運用するものですが、ここでは特に中小企業のBCPで考慮して欲しい点を3つ上げてみます。

 

1. 企業同士で助け合う

 中小企業では、日常時より業務の分担や、情報交換と助け合いの中で事業を運営している企業が多いかと思います。緊急時において、同業者・取引企業同士、被害の少ない企業が、被害の大きい困っている企業を助けるよう心がけて下さい。

 そうすることにより、地域の活性化、また、自社の事業存続にも繋がります。

 

2. 緊急時であっても商取引上のモラルを守る

 こちらは守られている企業が多いかと思いますが、敢えて、緊急時ということで記載しておきます。

 取引業者への支払いや、顧客との約束を守ること、便乗値上げはしないこと等、通常時のモラルを失わないことが重要です。

 

3. 地域を大切にする

 中小企業では、顧客や経営者・従業員が地域住民の一人であることも多いと思います。

 緊急時には、被災者の救出や商品の提供など地域貢献活動を積極的に行うことが望まれます。

 

 

 

【まとめ】

 BCPを策定する際は、自社の事業をよく理解しておかなければなりません。

 自社で優先させる事業や、取引先・顧客のこと、自社のビジョンやミッションなども理解する必要があります。

 そのため、策定するにあたり、経営者が中心となることが一般的でしょうが、もし、後継者や後継者候補がいる場合は、その方を中心に策定を依頼してみるのも良いかと思います。

 策定にあたっては、社内のコミュニケーションも必要になりますので、自社を深く知る意味でもよい機会になると思います。

 また、緊急事態時には、企業同士の助け合いも大切になりますので、社内だけでなく社外との交流を深めるチャンスにもなるでしょう。

 

 また、BCPを策定しただけで、終わらせてしまっては勿体ないです。運用してこそ、ですので、策定した後は、必ず、社内でシェアし、訓練も行って下さい。

 

 時流が早い昨今ですので、定期的に見直しも必要になります。1年に1回は見直しを考慮し、確認してみて下さい。

 

 

 BCP策定方法は中小企業庁のホームページでも詳しい記載がありますし、チェックリストも公開されていますので、活用されても良いかと思います。

 

・中小企業庁BCP策定運用指針/中小企業庁

・3.6BCP策定・運用状況の自己診断/中小企業庁

 

 

 

 本日はBCPについてお話しさせて頂きました。

 お付き合い、ありがとうございます。

 

  大阪事業承継パートナーズでは、事業承継・M&Aのご相談はもちろん、企業のチーム作り、また、後継者不足等、経営者の皆様の悩み相談にも力を入れております。

  是非、お気軽にご連絡下さい。

  お問い合わせはこちらから↓

https://jigyou-syoukei.com/contact

関連する記事

  • 【番外編】勝手に書籍紹介④

     こんにちは。  大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。  本...

  • 事業性融資推進法とは

     こんにちは。  大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。  本...

  • 事業承継とは(事業承継の種類と、事業承継の流れ)

    瀧井です。  昨今、中小企業の後継者不足の問題がにわかに注目を浴びています。 ...