「従業員承継」③ 株式評価
こんにちは。
大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。
先日の記事で、「従業員承継」では従業員である後継者に株式をどのように取得させるのかが、大きな課題になるという事をお話させて頂きました。
そこで、本日は「従業員承継」の第3弾としまして、株式評価を下げて、計画的に後継者に株式を取得させる方法について記載させて頂きます。
【はじめに】
法人が事業承継する際には、後継者が株式を取得しなければなりませんでしたね。後継者は、経営者の地位だけでなく、会社を支配するのに可能な数量の株式を取得することが必要です。
取得するには、買取る、か、贈与を受けるか、になります。
「親族内承継」とは違い「従業員承継」では、買取りで株式を取得するケースが多いかと思われます。「従業員承継」では、従業員である後継者が株式を買取るための資金を用意できないことが多いことから、取得する為に様々な対策が必要となります。
その対策の1つが、株式評価を下げて、計画的に株式を取得させる方法です。
【株価評価の引き下げ方法】
①役員報酬を引き上げる
②退職金を支給する
③株式配当金を低く設定する
④会社として生命保険に加入する
⑤資産や不良債権を使う
①役員報酬を引き上げる
自社株の評価を下げる為に有効とされるのが、役員報酬の引き上げを行うことです。損金として計上されるので、会社の利益額は下がることになります。利益額が減少すると、株式評価は下がります。
注意:事業年度途中に役員報酬を増額した場合は、損金として計上できないので注意が必要です。
②退職金を支給する
役員に対して退職金を払う方法です。役員報酬と同様、損金として計上できます。
適正な退職金の金額は、会社の利益や規模から計算されます。これらに見合った退職金額が支払われるよう専門家に相談するとスムーズでしょう。
例:経営者が相談役の役職に就くなど、一時的に退社する際に利用できます。
③株式配当金を低く設定する
自社株の配当金を下げる方法です。配当金を下げると株式評価が下がります。経営者が100%株を持っている場合は、問題なく変更できます。ゼロにすることも可能です。
④会社として生命保険に加入する
会社名義で生命保険に入れば、損金として計上できる為、利益額を下げられ、株式評価が下がります。
注意:掛け捨てなどの定期保険は損金として計上できるが、保険金を受け取れる保険や、決まった額が定期的に受け取れる保険は損金として計上できない場合もありますので、生命保険に入る際は、専門家に相談した方が良いでしょう。
⑤資産や不良債権を使う
含み損のある資産や、不良債権を保有している場合、株価算定を引き下げる事となり、株価評価が低くなります。
・含み損のある資産は、低い価格で資産を売却する事により、評価額よりも手元の残金が減少し、譲渡損失が生じます。→株価評価下がる
※譲渡損失とは、不動産など資産の売却を行った際に生じた損失のことです。
・不良債権も同様、貸し倒れなどの損失が認められる不良債権を計上する事により、自社の利益を減少させます。→株価評価下がる。
以上が、株式評価を下げる、主な方法となります。
では、株式評価はどのように計算されるのかも、おまけで見ていきましょう。
こちらは、一般的に、税理士や会計士と行った会計の専門家に依頼することになります。
【非上場株式の評価方法】
評価する株式を発行した会社を総資産額、従業員数及び、取引金額により、大会社・中会社・小会社のいずれかに区分し、原則として次のような方法で評価します。
大会社:原則として、類似業種比準方式により評価します。
類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の1株当たりの「配当金額」「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する方法です。
中会社:大会社と小会社の評価方法を併用して評価します。
小会社:原則として、純資産価額方式によって評価します。
純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。
従業員が70名以上でしたら、大会社に区分されます。
70名以下は下記表の通りです。
出典:国税局
【まとめ】
本日は株式評価についてお話しさせて頂きました。
専門家の協力なしでは、ハードルが高いですね。
大阪事業承継パートナーズでは、代表の弁護士、瀧井をはじめ、様々な専門家がチームを組み、事業承継・M&Aを成功に導きます。
経営者の皆様は、まだまだ元気で自社は大丈夫!とお考えの方が多いかと思います。しかし、時間をかけ、計画的に事業承継・M&Aに取り組む事により、資金面でも気持ち面でも、より良い承継に繋がります。
お元気なうちに、計画だけ作ってみることも、貴社を見直すいいきっかけになるかと思いますよ。
ご相談はお気軽に大阪事業承継パートナーズまで。
お待ちしております。
本日もお付き合いありがとうございます。
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