損益計算書とは?

 こんにちは。

 大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。

 以前、個人M&Aの関連で、財務諸表について記事にしたことがありました。

 

 財務諸表の一つの柱である、貸借対照表(B/S)についてはお話させて頂いたのですが、もう一つの柱である、損益計算書(P/L)は後回しになっていましたので、本日は損益計算書についてお話させて頂こうと思います。

 

 よろしくお願いいたします。

 

 

 まず、おさらいを兼ねて、

 

【財務諸表とは】

「決算書」とよばれるもので、自社の財政状況や営業成績を一定期間(基本的には1年)でまとめた計算書のことです。会社の成績表のようなものと思って下さい。

 

 大きく分けて、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)に分かれます。

 貸借対照表(B/S)についてはこちらから。

 

 

【損益計算書とは】

 会社の1年間の収入や支出が分かる決算書類です。

 いくら収益が上がったか、得た収益のうち使った費用はいくらか、そして残った金額はいくらなのか、という会社の経営成績を表しています。

 損益計算書を見れば、会社の利益を知ることができます。会社の経営が本当にうまくいっているのか、本当に儲かっているのかが明確に表れるデータです。

 

 大切な事は、売上よりも『利益』に注目することです。

 特に、売上総利益から営業経費を引いた利益=「営業利益」を見てください。

 会社経営にとって一番重要な数字は「売上高」ではなく「営業利益」です。

 ただし、スタートアップ企業では必ずしもそうとは言えません。まずは、利益度外視で売上をあげ、面で市場を取るという戦略もあり得るからです。その場合、営業利益は低くなりますが、収益があげられない会社だとは言いきれません。

 個人M&Aの際には、数字だけでなく、将来性も考慮し、会社全体の状態を見極める必要があります。

 

 

 

【損益計算表の見方】

 

 

 上の表は損益計算表の内訳を示しています。

 青文字は収益、赤文字は支出です。

 また、この中で『利益』にあたるのは、下線を引いている科目の、売上総利益営業利益経常利益税金等調節前当期純利益当期利益の5つになります。

 これは、会社がどのような経緯で利益をだしたのか、が分かるようになっています。

 

 注目すべき科目は①売上総利益営業利益経常利益です。

 

 それぞれ見ていきましょう。

 

①売上総利益

 売上高から売上原価(仕入れなど)を引いた金額です。

売上高売上原価売上総利益 

 よく耳にする「粗利」と呼ばれるもので、「どんなものを、いくらで売って利益を得ているか」という事です。

 仕入れコスト(売上原価)が小さいほど、売上総利益は大きくなるので『仕入れ力』が分かります。

 また、『付加価値』をつけることができれば、高い価格で売ることができます。唯一無二のサービスや、オプション等がそれにあたります。

 仕入れ値は変わらなくても、高い価格で売れれば、売上総利益は増えます。

 よって、会社の『ブランド力』も見えてきます。

 

 

②営業利益

 売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた金額です。

売上総利益販売費及び一般管理費営業利益

 営業利益は、本業でいくら儲かったのかを表す数字です。

 売上総利益を生むために、人やモノ・情報を効率的に使えているかがわかります。

 同業者と比べ、売上総利益は高いのに、営業利益が低い場合は、どこかに無駄な支出がある可能性を示しています。

※販売費及び一般管理費とは、人件費や家賃・配送費・広告費等の事で、商品やサービスを販売するために欠かせない経費です。オペレーションコストですね。

 

 

③経常利益

 営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いた金額です。

営業利益営業外収益営業外費用経常利益

 経常利益を見れば、本業における営業活動と本業以外の財務活動でどれくらいの利益が出たか、と言うことが分かります。

 本業で多くの利益を出しても、借入金の返済等の負担が大きければ、営業外費用がかさむ為、経常利益は少なくなります。

※営業外収益とは、会社の本業での営業活動以外によって得られる収益のことで、主に、預貯金の利子である受取利息や株の配当金などの財務活動で得られる収益のことです。会社が持っている金融資産から生まれる収益です。

※営業外費用とは、会社の本業のおける営業活動以外によって、断続的に発生する費用です。借りたお金の利子や、株式の売却損などが含まれます。会社が借りているお金から出ていく支出です。

 

 

 

【チェックしたい項目】

売上高総利益利率

売上高営業利益比率

売上高経常利益比率

 

の3つです。

 

①売上高総利益率

売上高に占める売上総利益の割合です。

計算式は

売上高総利益率売上総利益÷売上高×100

 

 売上総利益は、売上高ー売上原価(仕入れコスト)でしたね。

 売上原価を抑えているほど、売上高総利益率は高くなります。

 売上高総利益率が高いほど、収益性の高い商品やサービスを提供している優良企業であろうと推測されます。

 売上高総利益率の目安は業種によって異なります。こちらから確認できます。

 

 

②売上高営業利益比率

売上高に占める営業利益の割合です。

計算式は

売上高営業利益比率営業利益÷売上高×100

 

 営業利益は本業でどれだけ儲かったかを示す数字でした。ですので売上高営業利益比率が高いほど、本業で利益を生み出す力のある企業ということになります。10%を超えれば優良水準です。

 こちらも業種によって異なるため、こちらから確認をどうぞ。

 

 

③売上高経常利益比率

売上高に占める経常利益の割合です。

計算式は

売上高経常利益比率経常利益÷売上×100

 

 経常利益は、本業における営業活動と本業以外の財務活動でどれくらいの利益が出たのかを示す数字でした。

 売上高経常利益比率が高い会社は、本業収益だけでなく、資産運用などの営業外収益があり、理想的な経営状態にあることが推測されます。

 売上高経常利益比率が売上高営業利益比率よりも低い場合は、営業外収益がマイナスになり、借入金の負担が大きい事が予想されます。

※営業外収益から営業外費用を引いて、マイナスになれば営業外損益といい、プラスになった場合は営業外利益と言います。

 

 

 いかがでしたでしょうか。

 貸借対照表と比べると、幾分シンプルですので読みやすいと思います。

 個人M&Aをお考えで、購入会社をいくつか選出しようと思っている方は、是非参考にしてみて下さい。

 また、経営者の皆様は、ご自身の会社の財務表を改めて確認することも推奨させて頂きます。同じような規模の同業者と比較したり、平均値から自社の数値はどうなのか、といった事を認識するだけでも価値があると思います。

 そこから改善点、思わぬ閃きなどか見つけられたら有益ですね。

 

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