&B 藤田一香さんとの対談②
こんにちは。
大阪事業承継パートナーズ、コンサルタントの岡本です。
本日は、前回に引き続き、企業のビジネスサポートとして活躍中の&B代表、藤田一香さんとの対談を皆様にシェアしていこうと思っております。
第二弾は、
企業理念・ビジョンの策定方法や、チーム作り等のお話を伺っております。
今回も対談形式の記事となります。
お付き合いよろしくお願いいたします。
【企業理念・ビジョン策定】
―岡本
ビジネスサポートでは、経営者と共に企業の理念・ビジョンの策定もされるということですが、どのように策定していくのでしょうか。
ー藤田一香氏(以下、藤田)
企業理念は会社の軸となるものです。考えや価値観といった感じですね。
策定することによって得られるメリットはいくつかありますが、私が大切だなと思っていることの一つに”みんなが同じ方向を向いて仕事ができる”を挙げたいと思います。それはイコール、”従業員の方々が業務の中で迷子にならないようにする”ことです。
日々の業務に追われてしまうと、何の為にやっているのか、どこに向かっているのかが分からなくなってしまいますよね。
「生活を豊かにする」という理念と「安心を提供する」という理念では、優先する事項も変わります。
他の担当が奮闘していることが理念に沿っていれば、周りも理解しやすくサポートしようという気持ちが働きます。これが分からないと「なぜそんなことに時間をかけてるの?」など社内での衝突にも繋がっていってしまいます。
「進む方向が明確である」というのは、個人の生産性向上だけでなく、チーム、チーム間の相乗効果も期待できるため、企業理念はとても大切なものだと思っています。
実際に策定していく際、「企業理念はその会社が存続する限り基本的には変わることはありません。」とお伝えしています。それくらいの気持ちで深堀して、しっかりあぶり出した方がブレないものが出来上がると感じています。
『企業として、どうありたいか』『企業として世の中に何を提供していくか』などを経営者の方と熟考し策定します。
一方、ビジョンは、企業理念をベースに、事業を通して将来的に成し遂げたい事や、その将来像になります。
ビジョンはスラスラと出てくる経営者の方は多いのですが、「理念の言語化」がやはり結構手こずります。先にビジョンをざっと洗い出し、そこから理念を考察していくと見えてくることもありますし、好きな言葉や、人生において影響を与えた言葉などをズラッと書き出すことで見えてくることもあります。
なんにせよ、経営者の方とコミュニケーションをたくさん取ることを大切にしています。
たくさんお話頂く中で、良く出てくる言葉や考え方などをシンプルに素直に表現できるようアシストできればと思っています。
また、従業員数が10名以上であれば「理念検討委員会」というものを作るもの良いと思います。
経営者と共に理念を検討して、決定する機関です。
ー岡本
「理念検討委員会」ですか。そのメンバーはどのように選べば良いでしょうか。選ぶコツとかありますか?
ー藤田
基本的には経営者の方にお考え頂くのですが、私が携わっている場合は、全従業員と個人面談を行っているので、それを踏まえて、助言をさせて頂いています。
メンバーは通常業務に加え、理念検討委員会の仕事がプラスされることになりますが、頼られることが嬉しいと感じるタイプの方、新しく何かを創っていくことにワクワクする方が積極的に取り組んでいらっしゃってますね。
ー岡本
では、企業理念やビジョンを策定したのち、従業員にまで浸透させるためにはどうすれば良いでしょうか。せっかく策定しても、認知しているのは幹部だけ、という企業も多いのではないでしょうか。
ー藤田
まず、理念策定後に従業員全員を集め、社内で「理念発表会」を行うことが大切です。理念発表会は、経営者である社長にその想いも含め発表して頂きます。
改めて従業員の方が同じ方向を向くいい機会になります。
「理念検討委員会」を作った場合は、理念の検討で苦労したことなどをメンバーに補足してもらうのもいいですね。一度決まりかけたけどボツになったものの話や、社長がずっと唸っていた話など、エピソードが多いと発表会の場にも笑みが溢れたりして、一体感を感じられます。
また「理念検討委員会」は発表会後に「理念浸透委員会」へと変更し、今度は浸透させることを検討する委員会にチェンジします。
名刺の変更、HPの書き換えなどに始まり、理念に沿っていない事や行動などを抽出し、その改善策を検討するなどが役割です。企業理念を書いたカードを従業員に携帯してもらうことにした企業もありました。
問題が多かったり、うまくいっていない会社は理念を見直し、その理念を問題解決の軸として活用するのは良い方法だと思います。
皆さん何を大切にしたらいいかが分かり、迷いがなくなり、みんなで同じ方向を見ることができる。もしくは「同じ方向を見ていきたい」というメッセージを届けることができると感じています。
【問題の絶えない企業の主な原因】
ー岡本
ビジネスサポートとして、様々な企業をみてこられていると思いますが、上手くまわっている企業と問題を多く抱えている企業では何が違うのでしょうか?
もちろん一概には言えないと思いますが。
―藤田
そうですね、業種によっても異なってきますが、全体で共通している事を一言で言うなら「心理的安全性」を確保できているか、いないか、で分かれると思います。
(心理的安全性については過去の記事をご覧ください)
経営者やチームリーダーが、心理的安全性を意識できている企業は、問題が少ないです。あったとしても問題解決が早く、悪い状態が長く続きません。
人には様々な背景や事情があり、それを認めつつ、どんな意見や提案があっても一旦受け入れる。失敗ばかりを恐れず、チャレンジしてみていいよ、という心理的安全性を確保できている企業は強いですし、安定もしています。
―岡本
確かに、心理的安全性が確保されていない職場ですと、新しい挑戦に躊躇したり、思ったことを発言しにくいという事が起こりそうです。
ー藤田
そうですね。
心理的安全性のない組織にそれを根付かせるには時間がかかりますが、本当に大切だと思います。
心理的安全性を確保できているリーダーはコミュニケーションの量が他の人と比べて、圧倒的に多いように思います。挨拶から始まり、「ありがとう」等の感謝を伝え、会話の量を増やしていく。
『関係の質の深まり』というものがあり、これには段階があるのですが、第一段階は挨拶です。
当たり前のことのようですが、改めて丁寧にすることで変化があるのもまた挨拶です。チームがうまくまわっていないと感じた場合、少し違和感を感じた場合は、挨拶から見直して頂くことをオススメしています。
リモートワーク等で「コミュニケーションがなかなか取りづらい」と感じているリーダーの皆様には、定期的なミーティングを持つことや、その際に簡単な質問をして場を和らげる工夫を取り入れて頂いています。簡単なゲームを通してコミュニケーションを図るなど、コミュニケーションに関しては段階に応じて色々な手法があります。
また現場のリーダーのお悩みとして圧倒的に多いのが、「何をやっても部下や後輩が同じ温度感でやってくれない」というものです。
お辛い立場だと思うのですが、それでも根気良く環境を創ることをリーダーが努めることから、心理的安全性が創出されていきます。経営者やリーダーの方々が孤軍奮闘して心が折れないよう伴走するのも、私の大切な仕事だと思っています。
※『関係の質の深まり』とは、組織の状況を動的に捉え、より良い組織を生み出す為に、MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏によって提唱されたモデル『成功の循環』の中の1つのフレームです。「関係の質が深まる進化」を段階的に表で表しています。
【チーム作り】
ー岡本
現代ではチーム作りにも「多様性」という言葉がよく聞かれますが、それについてはどう思われますか。
ー藤田
どのようなものを多様性と言うのかは様々です。
昨今では、一様に多様性をよしとしている時代背景がありますが、企業の状態によって異なってくると思います。
たとえば、従業員も少人数で今までチームがなく、経営者からのトップダウンだけ走ってきた企業があるとします。その企業が社内に初めてチームを作る際には、まず、同調性を重視した方がスムーズかなと感じています。
車で例えるなら、タイヤ4つをしっかり同じ形にしていきましょう。という事です。タイヤの形がバラバラですと、走りませんよね。
まずは、経営者の考えと同じ意識を持つ従業員を見つける、そしてタイヤの形が同じになったところで、そのうちの1人がリーダーとなり、多様性を取り入れ、車の形を自由に作っていく、といった感じです。
企業の規模によって、また、企業の目的、チーム作りの経験値により、その道は様々です。
ー岡本
なるほど、確かに経営者の考えに手法に賛同できなければ、従業員はまず付いていくことが困難でしょうね。従業員の思いや向かう先がバラバラになり、企業全体もチグハグになりそうです。
ここでも企業理念が役立ちそうですが、どうでしょう。
ー藤田
おっしゃる通りです。ここでも企業理念の出番です。
理念は1つ軸となるものです。その軸を達成していく時に色んなアイディアや推進方法が模索できる方がいいですよね。それが多様性です。
そのあたりはドラクエやワンピースなどで皆さん実感していらっしゃるかと。笑
【リーダーの選出のコツ】
ー岡本
社内での営業成績が良い人=リーダーシップがある、とは限りませんよね。共通しているととても選びやすいですが、そうではないことの方が多いと思います。
藤田さんがサポートを行う際には、最終的に経営者に決定してもらうとしていますが、経営者にアドバイスを行う際にどんな事に目を向けていますか?
ー藤田
そうですね、企業サポートの最初に個人面談を行い、全ての従業員の方とお話をするので、その中で、皆さんに「相談しやすい人/話しやすい人は誰ですか?」という質問を盛り込む時があります。名前が挙がる方は割と共通しています。そのような方は人事のキーマンになり、リーダー候補にもなり得ます。
あとは、プロジェクト毎に違ってはきますが、「今このチームにおいて何を達成するのか」を経営者に明確にして頂きます。プロジェクトの成功は絶対ですが、何を以って成功とするのか、達成とするのかを明確にするということです。
それに必要な資質が「行動力」なのか「持続力」なのか「突破力」なのか見えてきます。
また、従業員の方々との面談の際に「苦手な仕事を苦手な人とすることになった時、何に気をつけますか?どうしますか?」などなど資質やモチベーションを拝見する質問を盛り込んで参考にすることも多いです。リーダーが決定すれば、今度は「何を」「どのように」「いつまでに」達成するのかというチームの目標を作り、チーム内で共有し、それぞれの目標にブレイクダウンしていきます。
質問の冒頭で出てきた「営業成績が良い人=リーダーシップがある」とは限らない。その通りだと思います。営業成績が良い人が、そのノウハウや勝因をうまく伝達できることはリーダーシップの第一歩でもあると考えています。うまく伝達し展開できる環境を創るのもまた経営者の方の役目ですので、そこも含めてサポートさせて頂いています。
まだまだお聞きしたいことは山ほどあったのですが、時間に限りがありましたので、ここまでとなりました。
また機会を作り、皆様とシェアしていきたいと思っております。
2回に渡って、藤田さんのビジネスサポートとしての思いや、志、サポートの一部をお聞きしてきました。
終始明るく、ホワッと安心感を与えてくれる雰囲気の中に、キリッと軸のあるお人柄がとても印象的でした。きっと、ご自身が仕事を通じて、ワクワク、キラキラされているのだと思います。
そのワクワク、キラキラを企業だけでなく、個人にも落とし込んでサポートして頂ける事は魅力的ですね。
VUCAの時代と言われている昨今、一人の力では成し遂げれないことも多くあるでしょう。しかし、個人の力をつけた上で、チームを作っていく事は厳しい時代を生き残っていく為に必要だと改めて感じました。
皆様の会社には素敵なチームがありますか?
大阪事業承継パートナーズでは事業承継・M&Aだけでなく、会社の組織化、リーダー育成についても専門家と共にお手伝いさせて頂きます。
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