経営承継円滑化法「事業承継税制」の要件とは

 こんにちは。

 大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。

 

 

 本日は、経営承継円滑化法を検討の皆様に、経営承継円滑化法の中の1つ、「事業承継税制」の要件をお伝えしようと思います。

 自社が「事業承継税制」を活用できるのかどうか、是非ご確認下さい。

 

 

【はじめに】

 経営承継円滑化法とは、日本経済を支える中小企業の事業承継を総合的に支援するために創設された法律で、大きく分けて4つの柱から成り立ちます。

 

4つの柱

①税制支援:事業承継税制

②金融支援

③遺留分に関する民法の特例:民法特例

④所在不明株主に関する会社法の特例の前提となる認定:会社法特例

 

 その中でも、①税制支援:事業承継税制は経営者にとって興味を惹かれるのではないでしょうか。なぜなら、後継者が非上場会社の株式等を先代経営者から贈与・相続した際に、贈与税・相続税の納税が猶予または免除される制度だからです。

 経営者の皆様の中にも納税を危惧している方は多いかと思います。

 後継者に会社を引き継ぐ際、この納税の負担が大きく、承継後、会社を安定的に維持していけないようなケースがあります。このようなリスクを軽減するべく、国が創設した法律となります。

 

概要はこちら

 

【事業承継税制の要件】

 事業承継税制を活用するにあたって、満たすべき要件を3方向から見ていきましょう。

①会社が満たすべき要件

②先代経営者の主な要件

③後継者の主な要件

 

 

①会社が満たすべき要件

<相続税><贈与税>共通

・中小企業ということ。※表あり

・風俗営業会社でないこと。

・上場会社ではないこと。

・従業員が1人以上いること。

・資産管理会社に該当しないこと。

                ※出典:中小企業庁

 

 「資産管理会社に該当しないこと」を少し詳しくお話しします。

 資産管理会社とは、不動産や株といった資産を持つ人が、自らの資産を管理するために立ち上げた会社のことです。資産保有型会社と資産運用型会社をまとめて資産管理会社と言います。

 賃貸不動産を多く保有する不動産会社が資産管理会社の代表例となりえます。

 ただし、資産管理会社でも事業実態があると認められた場合には、事業承継税制の適用対象になります。

ー事業実態があると認められるにはー

・従業員が5名以上であること。

・常時使用する従業員が勤務する事務所を所有、または賃借していること。

・3年以上継続して対価を得て商品販売等を行なっていること。

が挙げられます。

 ですので、先ほど記述した不動産会社も上記の要件を満たしているのであれば、資産管理会社に該当しない会社として、事業承継税制を活用できる可能性があります。

 

資産保有型会社:有価証券、自社で利用していない不動産、ゴルフ会員権、現預金などといった特定資産の合計金額が総資産額の70%以上の会社のこと。

特定資産とは、本業とは直接関係のない資産のことです。上記以外で、絵画、彫刻、工芸品などの動産、貴金属、宝石等も含まれます。

資産運用型会社:特定資産からの運用収入が総資産の75%以上の会社のこと。これらの資産を運用して得られる収入(たとえば賃料・配当・預金利息等)を目的として活動している会社が該当します。

 

 

②先代経営者の主な要件

<相続税><贈与税>共通

・当該会社の代表者に就任した経験があること。

・相続開始の直前または贈与の直前において、現経営者と現経営者の親族などで総議決権の過半数を保有しており、かつ、これらの中で筆頭株主であったこと。

<贈与税>

・贈与時において代表者を辞任していること。(有給役員であってもよいです)

 

 

③後継者の主な要件

<相続税><贈与税>共通

・相続開始時または贈与時において、後継者と後継者の親族などで総議決権の過半数を保有しており、かつ、これらの中で筆頭株主であったこと。

<相続税>

・相続開始の直前において役員であり、相続開始から5ヶ月後に代表者であること。

<贈与税>

・贈与時に18歳以上であること。

・贈与の直前において、3年以上役員であり、かつ、代表者であること。

 

ー注意点ー

 ③後継者の主な要件の項目の中で特に注意していただきたい点があります。それは、「贈与の直前において、3年以上役員であり、かつ、代表者であること」です。

なぜか?

 事業承継税制は「特例措置」と「一般措置」に分かれます。

「特例措置」を活用したい場合、「10年以内の贈与・相続」という適用期限があり、その期限は、2018年1月1日から2027年12月31日までとなります。

 後継者は役員就任後、3年経過している必要があるので、どんなに遅くても2024年末までには役員に就任していなければならないからです。

 一方、「一般措置」には適用期限はありません。

 またこの他に、「特例措置」を適用するには2024年3月31日までに「特例承継計画」を提出することも必要となります。

「特例承継計画」を提出は、2026年3月31日までに延長されています。

 

「特例措置」と「一般措置」については後日、記事にしたいと思います。

 

 

【まとめ】

 事業承継税制は経営承継円滑化法の中でも、メリットが大きいですが、多くのルールや上記のような期限もあり、活用するには注意が必要な法律となります。

 そのため、顧問税理士や、その他専門家の下、計画を立てて行うことが必要となります。

 少々面倒だな、と感じられた方もいるかと思います。ですが、後継者が安心して会社を承継できるよう、また、従業員も安定して業務を行えるよう、中小企業の皆様を守る法律になります。経営者の皆様、一度検討してみてはいかがでしょうか。

 次回は、「事業承継税制」活用にあたっての注意点などをお話ししたいと思っております。

 

 本日もお付き合いありがとうございました。

 

 大阪事業承継パートナーズでは、事業承継・M&Aをはじめ、組織改革や会社の再建など、会社の様々な悩みを事を専門家と共に解決いたします。

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