連帯保証人と保証人の違いとは

 こんにちは。

 大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。

 本日は、「連帯保証人と保証人の違い」についてお話していこうと思います。

 

 連帯保証人や保証人と聞いて、一番最初に思いつくのは、賃貸物件の契約の場面ではないでしょうか。日本では、家を借りたい人は賃貸契約の際に、家主から保証人を求められることがほとんどです。

 このため、家を借りたことがある方やその関係者の方などは、馴染みが深いかも知れません。

 

 しかし、連帯保証人と保証人の違いは?と聞かれたらどうでしょう。

 ご存じのない方も多いのではないでしょうか。

 私達の身近に存在する契約、連帯保証と保証において、連帯保証人や保証人になった場合、どのようなリスクがあるのかを知っておきましょう。

 

 

 

【連帯保証人と保証人の定義】

 お金を借りた人(債務者)が返済できなくなった場合に、その人の代わりに返済する責任がある人のことを言います。

 どちらも担保としての役割があります。(人的担保)

 

 

【連帯保証人と保証人の違い】

 一言でいうと、連帯保証人と保証人ではその責任の重さが違ってきます。

 連帯保証人は債務者本人と同等の支払い義務を負いますので、自身が契約しているのとほぼ同じです。債務者本人が支払えるかどうかは関係なく、請求されたら支払わなければなりません。

 一方、保証人は債務者本人が返済できない時のみ返済義務を負います。

 連帯保証人と保証人は民法上、大きく分けて3つの違いがありますので、次の項目でみていきます。

 

 

【3つの違い】

①「催告の抗弁権」(民法第452条)

②「検索の抗弁権」(民法第453条)

③「分別の利益」(民法第456条)

 

保証人には上記の権利がありますが、連帯保証人にはこの権利がありません。

 

①「催告の抗弁権」

 催告とは、相手方に対して一定の行為をするよう請求することで、この場合は、債務者に代わり、返済を求める請求のことです。

 抗弁とは、法律では、民事訴訟法上の防御方法の一つで、相手に逆らって主張をすることです。

 保証人には「催告の抗弁権」の権利がありますので、債務者に代わり、返済を請求された際、「まずは保証人ではなく、債務者に請求して下さい」と主張できる権利があります。

 ただ、債権者は債務者に1度催告するだけで済んだり、債務者が破産や行方不明になっている場合には「催告の抗弁権」は消滅してしまうため、保証人にとって、あまり強い権利とは言えません。

 

 連帯保証人にはこの権利がありません。したがって、請求されたら拒否することができないのです。

 たとえば、債権者が債務者に返済を請求していない場合であっても、「先に、債務者に請求して下さい」とは言えません。請求されるタイミングや債務者の事情は関係なく、連帯保証人は請求がきたら受け入れなくてはなりません。

 

 

②「検索の抗弁権」

民法第453条では下記のように定義されています。

『債権者が前条の規定に従い、催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。』

 

 債権者が債務者に催告しても返済されなかった場合、保証人に請求が及びますが、債務者に支払える能力があることや債務者の財産があることを証明すれば、保証人は債権者からの請求を拒否できます。この権利を「検索の抗弁権」といいます。

 「検索の抗弁権」を行使された債権者は保証人に請求できなくなり、債務者から回収しなくてはいけません。

 

 連帯保証人には「検索の抗弁権」の権利がありませんので、たとえ債務者が返済できる財産を持っていたとしても、請求が来たら応じなければいけません。

 

 

③「分別の利益」

 保証人が複数人いる場合は、支払い義務をその人数で等分できる権利のことです。

 たとえば、債務者が300万円の返済義務があり、保証人が3人いたとします。

 「分別の利益」の権利を持っている保証人は、誰かが全額の300万円の返済義務があるわけではなく、3人で等分した1人100万円に限り返済義務が生じるということです。つまり1人100万円以上は支払う必要はないのです。

 

 一方、この権利を持たない連帯保証人は、複数人いたとしても1人1人に300万円の支払い義務が生じます。

 では、誰が支払うのかということですが、「請求された人」ということになります。そして連帯保証人は「催告の抗弁権」も「検索の抗弁権」も持っていませんので、拒否することができないのです。

 

 連帯保証人になるという契約を結ぶことは、かなり厳しい責任を負うことになります。

 

 

【まとめ】

 連帯保証人と保証人で大きく自身の責任が変わってきます。

 連帯保証人においては、債務者と同等の責任を負わなくてはいけませんので、自身が借りたこととほぼ同じです。

 家族や友人から依頼を受けた際には、契約内容を確認するだけでなく、上記を踏まえた上、慎重に検討していただきたいと思います。

 また、トラブルになりそうな場合は、早めに専門家に相談することをお勧めいたします。この場合は弁護士が適任でしょう。

 

 本日もお付き合いありがとうございました。

 

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