デューデリジェンス(DD)とは
こんにちは。大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。
先日、M&Aの記事でデューデリジェンス(DD)について少し触れました。
大阪事業承継パートナーズの代表である瀧井が運営する法律事務所も デューデリジェンスを手掛けておりますので
本日はデューデリジェンスとはどういうものなのか、というお話をしていきたいと思います。
1 デューデリジェンス(以下「DD」)とは何か
デューデリジェンス(DD):企業などに要求される当然に実施すべき注意義務および努力のことで、M&Aにおいては会社の価値の調査のことを言います。
主に買い手企業が弁護士・公認会計士等の専門家に依頼して行う売り手企業の精査のことです。
M&Aの最終契約を結ぶ前に、売り手企業の価値の調査を行い、今まで売り手企業の提供してきた財務情報等、 基本合意書の前提となった情報が本当に正しいのかを確認します。(中小企業庁ガイドラインより)
基本合意書というワードがでてきましたね、こちらも簡単に説明しておきます。
基本合意書:譲り渡し側が、特定の譲り受け側に絞って M&A に関する交渉を行うことを決定した場合に、その時点における譲り渡し側・譲り受け側の了解事項を 確認する目的で記載した書面をいいます。
基本的に法的拘束力がないものの、譲り受け側の独占的交渉権や秘密保持義務等については、法的拘束力を認めることが通常です。 (中小企業庁ガイドラインより)
簡単にいえば、基本合意書とは、
売り手企業と買い手企業の双方が、M&Aに向けて現時点での基本的な条件の合意事項を確認するため、当事者間で締結する契約書のことです。
基本合意書はDD前の段階の合意となりますので、DDの結果によっては条件の変更が避けられない事もある為、独占交渉権、機密保持等の一部の条項を除き、法的拘束力を持たせない事が一般的です。
この基本合意で、売り手企業が買い手企業に、独占交渉権とDDの機会を付与するのが通常の流れとなります。
売り手企業側としては買い手企業側から企業の内容を詳細に調査されることは、気分がいいものではないかもしれませんし、実際現場では資料の提出依頼の対応や、質問対応に追われて相当なストレスがかかるといわれています。
しかし、調査に非協力的だと、買主側に不信感を与えかねないので、積極的に協力することがM&Aの成立のためにも必要となってきます。
ここは売り手企業側の頑張り時ですね。
2 DDの種類について
DDは様々な種類がありますが、その中でも代表的なもの4つをご紹介します。
・ビジネスDD(コンサルティング・ファーム)
・財務DD(公認会計士・税理士)
・税務DD(税理士・公認会計士)
・法務DD(弁護士)
ビジネスDD
ビジネスデューデリジェンスは、複数あるDD工程のうち最初に行われるもので、 対象会社の経営実態の把握と将来性の見極めの為に行われます。
その企業を包括する市場全体を評価し、また、市場における対象会社のポジションなどを確認した上で、ビジネス上の強み、弱みを多面的な観点から分析し、その事業がM&Aの目的と適合したものなのかを精査します。
事業の将来性や買い手企業側との統合によるシナジー(二つ以上の企業ないし事業が統合して運営される場合の価値が、それぞれの企業ないし事業を単独で運営するよりも大きくなる効果をさす)の検討等を行うことを目的としています。
財務DD
財務デューデリジェンスでは、対象会社の財政状態、経営、実績、資金繰りなどの財務状態について詳細に調査し、また、不正な取引や経理処理がないかを確認します。
これにより、正常収益力、キャッシュ・フローなどの正確な基礎情報を導き出し、将来にわたって期待できる収益水準はどうか、債務が適正な範囲内か、といったリスクを洗い出します。
税務DD
税務デューデリジェンスでは、対象企業の税務処理状況を調べます。
具体的には、法人税や事業税などの税金が正しく申告・納税されているか、繰り越し欠損金があるかどうかなどを調査することになります。
※ビジネスDDは将来の事業計画に向けての調査に対して、財務・税務DDは過去の業績を中心に調査される点が異なります。
法務DD
法務デューデリジェンスとは、企業のあらゆる契約関係を調査し問題がある契約の洗い出し、各種関係法令に抵触する問題がないかどうかなど、法的なリスクを調査します。
具体的には、会社組織・株式、関係各社、許認可、契約、資産・負債、知的財産、訴訟・紛争、環境などを詳しく確認していきます。
専門性の高い分野であり調査項目も広く、ほとんどの場合、弁護士など法律の専門家に依頼します。
法務DDを実施することで、M&Aのスキームや価値評価、将来の事業計画を安心して決定することができるでしょう。
特に注意すべき点は、COC条項(Change of control条項)の取扱いと法務的な許認可の引継ぎや新規取得、特許権や商標権の保有者の確認です。
COC条項とは、株主の構成が変わったときには契約を解除したり許可を得なくてはならないとする条項のことです。
M&Aでは多くの場合で経営権の変更や資本構成の変更を伴うため、COC条項への対応が発生します。
たとえば、店舗物件を借りて事業を運営している経営者が、M&Aを実行する場合には、その物件オーナーの承諾が必要となります。
もし、物件オーナーが経営陣の変更・移動に承諾しなかった場合は、その企業は退去を命じられ事業を運営できなくなる可能性もあるのです。
この条項については譲受企業が特に気にするポイントで、この条項の有無がM&Aの成約における重要な判断材料ともなり得ますし、内容次第では、M&Aを実施するという前提すら揺らぐことがあります。
また、対象会社が重要な訴訟・紛争を抱えているケース、取引上の契約違反や他人の権利の侵害により、多額の損害賠償請求を受けているようなケースなどでは特に法務DDは欠かせません。
もし問題が見つかれば必要な対応をとりリスクを軽減させることも可能です。
その他にはITDD、人事・労務DD、環境DD、不動産DDなど、数あるDDの中で対象会社の特性やリスク、買い手企業側が重視する点等を考慮して、その実施範囲を検討することになります。
また、DDを依頼するのであれば、DDに関する知見と経験が豊富な専門家に依頼しなければ、DDを行う意味が低減してしまいますので、しっかりと専門家を選択して下さい。
また、外部アドバイザーから客観的な意見をもらう方が、調査結果の信頼性も高まります。
現状の分析と課題の提示はもちろん、経営統合後の事業展開を踏まえたコンサルティングもあれば、なお意味のある調査報告とできるはずです。
3 大阪事業承継パートナーズの強み
大阪事業承継パートナーズでは、代表の瀧井が運営する瀧井総合法律事務所等と協力し、オーダーメイドのDDを作成しております。
私どもの強みとしては、数あるDDの中で貴社に必要であるDD及び調査対象項目を抽出し、様々な士業等専門チームを集結させ責任をもって行います。
このDD及び調査対象項目の抽出がかなり重要になってきます。
ほぼ全てのDDを行えば、リスクを低くしM&Aに臨めるでしょうが、その為には膨大な時間もコストも必要となります。
また選択肢を誤れば、会社を譲受けた後で、重大な問題が発覚する場合もあります。
そこで、私どものチームではDDC(デューデリジェンス コンパクト)というプランを設定し、皆様の時間とコストの縮小に努めております。
こちらは是非、中小企業の皆様にお勧めしたいサービスです。
DDCとはDDのコンパクト版ということで、私どものチームがこのサービスを『DDC』と名付けました。
事業承継M&AにおけるDD実施で買い手企業がもっとも関心が高いであろう財務・税務DD、労務DD、法務DDの3つの角度から、問題を解消することを目指しております。
DDCについては次の記事で詳しくお伝えしたいと思います。
4 さいごに
M&Aについて3つの記事を掲載いたしましたが、
M&AにはDDが欠かせないこと、また専門家の知識が不可欠なこと、費用も時間も余裕が必要ということを、何となくでも認識していただけたら幸いです。
少々聞き慣れないワードが並びましたので、お疲れになった方もいらっしゃるかと思います。
M&Aの流れや、心づもりだけ理解して頂ければ良いかと思います。
事業承継にはもちろんですが、経営者の皆様、是非、会社のことを相談できる人を見つけて下さい。
相談でなくても良いです、話をすることができる人。そのような人の存在が、貴社の強みの発見に繋がっていくのではないでしょうか。
お話ししたくなったら、大阪事業承継パートナーズを思い出していただけたら嬉しく思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
ちょっと話してみても良いかな、という方はこちらから
お待ちしております。
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