持ち株比率とその権利
こんにちは。
大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。
本日は、自社株式の持ち株比率とその権利についてお話ししようと思います。
事業承継において、後継者が安定して経営を行うために、自社株式を後継者に集約させることが重要であるという話はよく耳にすると思います。
それは、持ち株比率によって行使できる権利が異なるからです。
後継者の持ち株比率を軽視しては、事業承継の成功はあり得ない、といっても過言ではありません。
では、まず議決権のある株式をどれくらい保有すると、どのような権利を持つことができるのかを見ていきます。
主要な権利に絞って記載いたします。
【持ち株比率とその権利】
◆1株以上
株主代表訴訟(会社法847条)
1株保有していれば、その株主は会社を代表して取締役や役員に対し、法的責任を追及するために提起する訴訟を起こすことが可能です。
◆3%
会計帳簿閲覧請求(会社法433条)
会社に対して、会計帳簿の閲覧請求が可能です。
会計帳簿は、会社の取引先や取引内容、取引量など経営状態を把握する重要な内容を含みます。請求された場合、経営者にとっては外部に見せたくないものを見せなくてはならなくなります。
※ただし、請求者が会社の業務を妨げたり、その会社と競争関係にある事業を営んでいる等の理由から、その会社にとって不利益になる場合は除きます。
◆3分の1超
株主総会の特別決議の否決が可能(会社法309条②)
特別決議を単独で阻止することができます。
※特別決議とは、資本金減額の実施、定款変更、事業譲渡や合併・解散の実施等、普通決議より経営上重要な決定を行う決議のことです。
◆2分の1超(経営権があるといえる)
株主総会の普通決議が可能(会社法309条①)
※普通決議とは、取締役の選任・解任、役員報酬の変更、剰余金の配当等を決定する決議のことです。
◆3分の2以上(支配権があるといえる)
株式総会の特別決議が可能(会社法309条②)
◆100%
全て自分の意思で決定することができます。
M&Aを行う時にはこの状態が好ましい。
上記が主な権利となります。
一般的に議決権のある株式を3分の2以上保有している場合、支配権があるいい、議決権のある株式の2分の1超を保有している場合には、経営権があるとされています。
事業承継においては、この経営権と支配権を持つことが重要であり、事業承継後の安定した経営に繋がります。
後継者が、経営権や支配権を持つことができなければ、会社経営に関する事項について単独で決定できません。特に支配権は重要度の高い決議事項である、定款の変更や合併・解散、事業譲渡など会社組織に関する事項を決定できる権利です。
自社株式が分散して、後継者に支配権はおろか経営権すら持たせることができなければ、会社の様々な決定に時間を要し、経営が滞る心配や後継者の意思が会社に反映されない恐れも出ていきます。
そうなれば、経営は安定せず、会社の存続すら危うくなる可能性もあるのです。
【まとめ】
経営者は、後継者にできる限り円滑に、また安定した状態で会社を譲りたいと思います。
事業承継において、後継者には議決権のある自社株式のうち、少なくても3分の2以上は保有させることが肝要です。支配権を持たせる、ということです。
後継者が単独で3分の2以上の自社株式を持つことで、会社における重要事項を一人で決めることができることから、後継者の意思を会社に反映しやすく、スピードも早まります。また、他の株主から経営に関する阻害を受けにくいことから後継者が安心して経営を継続していけるメリットもあるでしょう。
もし、後継者単独で保有することが難しい場合は、信頼できる親族やメンバーなどで自社株式を集約し、安定株を構築することが重要です。
支配権は、重要度の高い決議事項である、定款の変更や合併・解散、事業譲渡など会社組織に関する事項を決める事ができるので、後継者だけでなく、一人で経営する方や中小企業の経営者もこの持ち株比率以上の株式を保有しておきたいですね。
本日は自社株式の持ち株比率についてお話ししました。
お付き合いありがとうございました。
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