事業性融資推進法とは
こんにちは。
大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。
本日は、2024年6月に参院本会議で可決、成立した、「事業性融資推進法」についてお話ししようと思います。
新たな担保制度として「企業価値担保権」が創設されたことが大きなポイントとなります。(2年半以内に施行予定)
1:事業性融資推進法とは
『(目的)
第一条 この法律は、事業性融資の推進等に関し、その基本理念、国の責務、基本方針の策定、企業価値担保権の設定、事業性融資推進支援業務を行う者の認定、事業性融資推進本部の設置等について定めることにより、不動産を目的とする担保権又は個人を保証人とする保証契約等に依存した融資慣行の是正及び会社の事業に必要な資金の調達等の円滑化を図り、これらにより会社の事業の継続及び成長発展を支え、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。』
事業性融資推進法は、金融機関等が、不動産担保や経営者保証等に依存する事なく、事業に必要な資金調達をスムーズにし、会社の継続や成長発展を支えていく目的で制定された法律です。
有形資産の不足で融資が受けられない、経営者保証の存在により事業承継を躊躇している事業者などに向けて、資金調達がしやすくなるメリットが期待されています。
2:新たな担保制度「企業価値担保権」とは
『(企業価値担保権)
第七条 会社の総財産(将来において会社の財産に属するものを含む。第二十五条及び第二百六条第一項において同じ。)は、その会社に対する特定被担保債権及び不特定被担保債権を担保するため、一体として、企業価値担保権の目的とすることができる。』
従来の担保権の対象は、土地や工場など有形資産が中心でした。
しかし、新たな担保制度「企業価値担保権」では、ノウハウや技術、データなどの無形資産も担保価値として融資の判断材料になり得ます。
また、経営に関する情報について粉飾がなされるといった場合を除いて、経営者保証の利用を制限する規定も盛り込まれています。
【事業性融資の推進等に関する法律(個人保証等の制限)第十二条】
※金融庁HPより
担保を設定できる担保権者は、新たに創設する信託業の免許を受けた事業者(企業価値担保権信託会社)です。
活用する事業者は、企業価値担保権信託会社と信託契約を結び、制度を運用することになります。
※金融庁HPより
3:「企業価値担保権」はこんな事業者に活用してほしい
・ 十分な無形資産はあるものの有形資産に乏しい事業者
・ 経営者保証の存在により事業承継を躊躇している事業者
・ 事業再生に取り組む事業者
4:まとめ
事業性融資推進法の「企業価値担保権」は今まで、担保資産が少なく、融資を受けにくかった中小企業や小規模事業者には魅力的な制度だと思います。
融資が受けられず、将来性や技術力がある企業が倒産してしまうと、そこにあった雇用や無形資産も無くなってしまう可能性があります。
これは日本経済全体にとって大きな痛手です。
また、将来性が認められれば、有形資産が少ないスタートアップ企業にも融資のチャンスが広がります。
今後は「企業価値担保権」の周知や信託契約のコスト、手続きの煩雑化が課題となってきそうですが、
施行まで約2年、事業者の皆様が活用しやすい制度に定められることを願いたいです。
本日もお付き合いありがとうございます。
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