貸借対照表=バランスシート(BS) 項目別注意点

 こんにちは。

 大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。

 

 先日の記事でバランスシートとは何なのかをお話ししました。

 本日は、バランスシートを見る上での項目別注意点などをお話ししようと思います。

 

 まず、復習になりますが、バランスシートとは、資産、負債、資本・純資産の一覧でした。会社の財務状況を知るもので、資金繰りがうまくいっているのか、会社は安定しているのか、を見るものでした。

 

(出典:中小企業庁)

 

 

今回もバランスシートを

・資産の部(表の左側)

・負債の部(表の右上)

・資本・総資産(表の右下)

の3つに分け、注意点とそれぞれ部門の中の注意項目を見ていきます。

 

 

【資産の部の注意点】

 

資産の部(表の左側)

「流動資産」

 1年以内に現金化できる資産です。

 上から流動性の高い順に並んでいるとお伝えしました。という事は、上の項目の金額が多いほど、いざという時に現金化できる、ということです。

 すなわち、倒産のリスクが低い、という事を表しています。

 

 

※「流動資産」を見たら、「流動負債」を合わせて見て下さい。

 ここで大切なことは、1年以内に現金化される「流動資産」と、1年以内に支払が生じる「流動負債」のバランスです。短期間における資金繰りに問題がないか、を見ます。

流動資産>流動負債になっていること

 1年以内に現金になる「流動資産」より、1年以内に現金として支払わなければならない「流動負債」の方が多くなっては危険です。

 「流動資産」の中には、売掛金や、売掛手形も含まれます。

 売掛手形は売掛金より現金化に時間がかかりますので、どうしてもタイムラグがあるのです。

 

 流動資産>流動負債になっていると、資金繰りに余裕のある会社だと判断する1つの基準となります。

 一般的には「流動資産」は「流動負債」の1.5倍、理想は2倍あるとよいとされています。

 

 

項目:

『売掛金』

 売掛金とは、商品やサービスを売ったけど、まだお金は払ってもらっていないよ、の状態です。カード払いのようなものですね。

 売っても、お金が未回収ならば、会社のお金はどんどん減っていきます。

 ですので、売掛金をちゃんと回収できているか、は重要です。

 売掛金額が高いBSは不良債権になっていないか確認して下さい。

 時系列を追って、請求書や領収書、通帳等で回収できているかを確認しましょう。経営者にヒアリングを行うのも有効です。

 

 

項目:

『棚卸資産』

 棚卸資産とは、会社が販売する目的で、一時的に保有している資産です。商品・製品・材料など。

 まだ販売されないまま、社内に残っている状態で、在庫ですね。

 こちらも資産の部門に分けられます。

 ちゃんとBS通りの在庫が存在するのか、どのような状態で社内にあるのか、ということを確認して下さい。

 BSには載っていても、盗難されていたり、販売できない状態かもしれません。(食品なら腐っていたり等、そうなれば資産は0円です)

きちんと棚卸検査をしていない会社の場合、そのような物品がBSに載ってしまっているかも知れません。

 自分の目で確認する為、倉庫や工場に実際に足を運ぶのが事がBESTです。

 

 

 

 

 

「固定資産」

 現金化するのに1年以上かかる資産です。

 

※「固定資産」を見たら、「固定負債」を見て下さい。

 「固定負債」は、1年以内に返却しなくてもよい負債です。

 固定資産<固定負債+資本・純資産

 現金化が遅い、長く保有する「固定資産」は、時間的に余裕のある安定した負債の「固定負債」と、返却のいらない「資本・純資産」の中で購入するべきです。

 「固定資産」の金額の方が大きければ、短期で返済しなければならない、「流動負債」の資金を使って、「固定資産」を返済していくことになり、会社の財務状況は不安定なものになります。

 もし、固定資産>固定負債+資本・純資産、であれば、会社の財務上、「固定資産」を無理して購入した可能性もあります。

 

 

項目:

『減価償却累計額』

 金額の大きさを見ましょう。

 減価償却累計額とは、価値が目減りしたものの累計金額でしたね。

 ですので、この金額が大きければ、その資産を購入した時期からかなり経っており、次の設備投資が近い事が予想されると言うことになります。

 この項目の金額が大きい場合、どの設備の減価償却額が大きいのか、また、新しい設備投資の資金が用意できるのか、を確認しなければなりません。

 

 

 

【負債の部の注意点】

 

負債の部(表の右上)

「流動負債」

 上から順に1年以内に返却しないといけない項目順に並んでいましたね、

 という事は、返却までの期間が短い順に並んでいるという事です。時間的に余裕のない負債です。

 つまり上の項目の金額が多ければ多いほど、倒産のリスクは高くなる=下の項目の金額が多いほど、倒産のリスクは低くなると言うことです。

 

 

項目:

『前受金』

 前受金の金額より、現金が少ないBSは、注意です。

 前受金とは、商品売買(無形サービスも含みます)を行った際に、商品を渡していない段階で商品代金の一部、もしくは全額を受け取った状態です。

 例えば、予約販売なんかが分かりやすいと思います。最近で言うと、任天堂スイッチとかですかね。代金を受け取ったが、商品はまだ提供していない状態のことです。

 代金を受け取ったのに、「負債の部」?と思うと思いますが、これは、会計上の決まりです。

 もしその商品(サービス)がキャンセルになった際に、前受金は返却しなければならないからです。

 ですので、BSで前受金が出てきたら、それ以上の現金があるかどうかの確認をしてください。また、いつ受け取って、いつその商品の提供が行われるのか、の時系列の把握と、その商品を作成した作成費用は、支払い済みなのか、もチェックが必要です。

 

項目:

『支払手形』

 支払手形が多い会社も要注意。

 買掛金よりも支払い期間が長いものが支払手形です。

 だいたい、3か月や6か月ごとに分割で支払うケースが多いです。

 支払いまでの期間が長いと、それまでの会社の資金繰りは楽になります。

 しかし、何かのトラブルで支払わなければいけない現金を使ってしまったり、前受金を使用してしまい、支払い決済日に支払いができない場合、不渡りとなり、会社は倒産となってしまいます。

 支払期限を随分猶予してもらっているのに、期日までに準備できなかった、と言うことになりますので、会社の資金繰りは逼迫していることは明らかです。

 買掛金が支払期限までに準備できなかったのと比べても、取引先にかける迷惑は同じですが、与えるインパクトにはかなりの差があります。

 会社を買う時、支払手形の多い会社は、資金繰りをしっかりと確かめて下さい。

 

 

「固定負債」

 1年以内に返却しなくてよい負債でした。比較的、返却時間までに余裕のあるお金です。

 

項目:

『長期借入金』

 一般的には借入金は年間売り上げの半分以下に抑えた方が良いとされています。

 理想は月商の4か月になります。

 

 

 

 

【資本・純資産の部の注意点】

 

 会社が持っている、返済する必要のないお金でしたね。

 この部門で重要な項目は、『利益剰余金』です。

 会社は資本金や借入金で現金を集めてきて、利益を生む資産を買い、利益剰余金を積み重ねていきます。

 

 

項目:

『利益剰余金』

 利益剰余金とは、これまで稼いだ利益のうち、使わずに会社に残っている金額です。会社の利益の積み重ねの金額が記載されています。

 つまり、『利益剰余金」』を見れば、その会社がどれだけ稼いできたかが分かります。

 これがマイナスになっている場合は、一般的には業績が悪化していることを表しています。

 すぐに「債務超過」(純資産がマイナスになっている)にはなりませんが、このままマイナスが続くと倒産の危機となります。

 

 合わせて、「債務超過」とはどのような状態かを説明しておきます。

 

「債務超過」とは、

 

 BS上、売上や売掛金の資産合計(左側)より、借入金や買掛金の負債金額(右上)となっていることです。

 

 

 これは、会社の商品や設備などの全てを売り払っても、抱えている借金や家賃等の固定費の支払いを合計した金額に足りていない状態を表していて、この状態が続けば、全ての資産を売却しても、負債だけが残るため、会社の存続は困難になります。

 倒産の危機に瀕している、という事です。

 

 純資産は「資本金+利益剰余金」ですので、会社が常に利益を出し続けている限りは、資本金よりも純資産が下回ることはなく、資本の部は減りません。

 しかし、会社の利益がマイナスになる=会社の利益剰余金が減ると、資本の部における資本金の額は変わらないことから、利益剰余金がマイナスになっているはずです。

 

 

 とは言っても、すぐに債務超過=倒産とはいうわけではありません。

・負債には支払いに1年以上猶予がある固定負債も含まれている。

・流動資産に余裕があれば、直近の支払は可能である。

・開業当初で設備投資等で、一時的に資産<負債になっている可能性がある。

 

 という理由があるからです。

 

 ですが、この状態のBSは会社が継続困難な状態にあると考えていいでしょう。

 

 

 

【まとめ】   

 2回に渡って、バランスシートについてお話ししてきましたが、これだけが全てではありません。

 スモールM&Aで会社を買う際の候補企業を選択する上で、せめて、ここだけは見て下さい、というものです。

 いわば、最低限の知識です。

 

 実際に候補企業から1社を選ぶ際には、やはり専門家のアドバイスを受けた方が安心です。

 

 高齢化で後継者不足が理由のM&Aの他に、戦略的M&Aや成長型M&Aのような企業同士のM&Aも主流になってきた昨今、スモールM&Aもまた身近になりつつあります。

 

 企業も副業を許容するようになってきています。今後も情勢はスピードを上げて変化していくでしょう。

 その中で、スモールM&Aが経営者以外に浸透してきている今、やりたかった事業があるのでしたら、スタートアップで始めるより、選択肢としてスモールM&Aを考えてみるのもありだと思っています。

 なぜなら、今は買い時でもあるからです。

 

 ご興味のある方は、まず、ご自身で調べてみて下さい。検索すれば、様々な売り企業、また知識も出てきます。

 そして、実際に行動に移す際、分からない事があったり、困った事がありましたら、大阪事業承継パートナーズを思い出して頂ければ幸いです。

 

 

 時代のスピードに乗って、自分自身も変化を問われる時代ですね。

 大阪事業承継パートナーズも皆様とともに変化し続けられるよう、日々邁進いたします。

 

 

 企業の方のみならず、個人の方もお気軽にご相談下さい。

 各種、経験豊富な専門家がお待ちしております。

 

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