推定相続人とは

 こんにちは。

 大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。

 
 前回の記事に「推定相続人」という言葉が何度か登場していましたよね。
 「推定相続人」は、遺言書を始め、相続におけるテーマでは欠かせない用語となっていますので、聞いたことがあるな、という方は多いかもしれません。
 また、「推定相続人」と似た言葉として「法定相続人」「相続人」などがあります。
 全部同じではないの?と、昔私は思っておりました笑
 
 厳密に言えば、違うのです。
 本日は、それぞれの用語の違いと「推定相続人」とは、何なのか、誰の事を指しているのか、についての記事となります。
 
 相続においては、相続人やその効力、財産分与等、民法で規定が定められていますので、専門知識が必要になる分野です。
 本来は、法律の専門家、弁護士がお話しする事が最も好ましいとは思いますが、ここでは、私から簡単にお話ししていこうと思っています。
 
 本日もよろしくお願いいたします。
 
 
 
 先ずは、相続とは?から。
 
【相続とは】
 ある人が亡くなった際、その人の財産(すべての権利や義務)を定の人が引き継ぐという事です。
 民法ではこの特定の人、というのが「相続人」と定められています。
 ただし、相続放棄等で実際に財産等を引き継がない人は「相続人」とはなりません。
 
 また、死亡した人の財産(すべての権利や義務)の事を「遺産」といい、財産等を遺して死亡した人のことを「被相続人」といいます。
 「遺産」には資産だけでなく、負債も含まれています。
 
 たくさん用語が出てきましたので、簡単におさらいしておきます。
 
・相続人:実際に財産(すべての権利や義務)を引き継ぐ人のこと
・遺産:相続財産のこと。亡くなった人が死亡時に遺した財産(有形無形やプラスマイナスも全て含まれます)
・被相続人:財産等を遺して死亡した人のこと
 
 
 
【推定相続人・法定相続人の違い】
 これらはとても似ている言葉になりますが、実はそれぞれ意味合いが異なります。
 ザックリいうと、被相続人となる人が現在、存命なのか、死亡しているか、の違いです。
 
推定相続人:
 まだ相続が発生していない状態で(被相続人となる人が死亡していない、ということです)、今後相続が発生した際に、相続人になるべき人のことを言います。
 存命中の今現在において、相続が発生したと仮定した場合に、相続人になる予定の人、ということです。
予定ですので、「推定」となります。
 
法定相続人:
 被相続人となる人が死亡した際に、民法の定めに従って、相続人となる権利がある人のことです。
 
 
 被相続人となる人が存命中の相続人は「推定相続人」、被相続人となる人が亡くなった以降の相続人は「法定相続人」となるのです。
 また、財産等を遺して死亡する予定の人を「推定被相続人」といいます。予定ですから、「被相続人」に「推定」を付け加えます。
 
しかし、「推定相続人」が必ずしも「法定相続人」になると決まっているわけではありません。
 
一例としては、推定相続人であった配偶者が、推定被相続人が死亡するまでに離婚で配偶者ではなくなった時、この場合は「法定相続人」にはなれません。
「法定相続人」になるためには、相続が発生(推定被相続人が死亡)した時に、配偶者でなければいけないのです。
 
 
 
【推定相続人とは誰のこと?】
 では推定相続人とは、誰のことなのでしょうか。
 以下の①と②共に推定相続人となり得ます。
 
①推定被相続人の配偶者
「配偶者相続人」と言います。
②推定被相続人と血縁関係にある人
「血縁相続人」と言います。
 
 ①の配偶者は存命であれば、推定相続人となることが原則です。
 しかし、②の血縁相続人は、血縁関係にあれば全ての人が推定相続人になれるわけではなく、優先順位があります。
 優先順位に従って、推定相続人を決めていきます。
 
 
 
【血縁相続人の優先順位】
 血縁相続人の優先順位には第1順位から第3順位まであり、第1順位から順番に優先順位は低くなっていきます。
 ①の配偶者は原則相続人になり得ますので、血縁相続人の第1順位+配偶者、第2順位+配偶者、第3順位+配偶者、となります。
 
■第1順位■
〇推定被相続人の子供
子供が死亡等で相続人ではない場合は
孫。
 推定被相続人に子供がいた場合は、子供が優先順位の1位となります。
 ※この場合、第2順位以下の人には、相続権は発生しません。
 
 子供も孫もいない、もしくは双方が相続権利を持っていない場合は、第2順位の人が推定相続人となります。
 
 
■第2順位■
〇推定被相続人の父母
父母が死亡等で相続人ではない場合は、
祖父母。祖父母もいなければ、曽祖父母と遡って相続します。
 ※この場合、第3順位以下の人には、相続権は発生しません。
 
 第2順位に該当する人がいない場合は、第3順位へ。
 
 
■第3順位■
〇推定被相続人の兄弟姉妹。
兄弟姉妹が死亡等で相続人ではない場合は
甥姪

 

 では、もし、身寄りが全くいない、や、相続人が全て死亡等で相続人が誰もいない場合はどうなるのでしょう。
 
 
 
【相続人が誰もいない場合】
 相続人が誰もいない場合は、全財産が国庫に帰属することとなります。
 要は国に引き渡す、ということです。
 
 国庫に帰属することを避ける方法として、
・遺言書を作成する
・生前贈与を活用する
 があります。
 どちらも、自身の遺志を正確に伝える手段となります。
  
 
 
【まとめ】
 いかがでしたか?
 似たような用語ばかり出てきたので、混乱してしまいそうですね。
 
 簡単に言ってしまえば、財産を受け継ぐ「相続人」と財産を受け渡す「被相続人」がいる、ということです。
 そして「相続人」においては、「被相続人」が存命なのか(推定相続人)、死亡しているのか(法定相続人)で用語が違ってくるということです。
 
 事業を営む経営者にとって、「推定相続人」を把握しておくことはとても重要です。
 相続とは、法律で厳格に定められていますので、自分の好き勝手には受け継がすことができません。
 
 相続の対策を講じずに、自社株式等の会社の資産が分散してしまい、会社が続けらなれなくなった場合、家族はじめ、従業員、その家族、取引先等の会社関係者までも影響を受けることとなります。
 
 会社を次の代に承継していくためにも、円滑な相続となるよう、対策が不可欠です。
 
 また、遺言書を作成しているからと言って安心は出来ません。
 法律に則り、相続の決まりを遵守していない遺言書の場合は、遺言書通りに相続人に財産等を受け継がせることができない可能性があります。

  相続には、遺産の一定部分を一定範囲の相続人に留保させる「遺留分」という制度が定められています。そのため相続においては、法律の知識が必要となります。

 この時、最適な専門家は、弁護士でしょう。
 
 次回は
 この「遺留分」についてのお話しをしていこうと思っております。
 

 大阪事業承継パートナーズでは、事業承継・M&Aの相談の他、代表である弁護士、瀧井が相続のお手伝いもさせて頂きます。

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