事業承継税制 認定までの流れ
こんにちは。
大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。
本日は経営承継円滑化の事業承継税制について触れてみたいと思います。
以前の記事でも事業承継税制を取り上げましたが、今回は、事業承継税制を活用するための認定までの流れをお話ししていきます。
【はじめに】
事業承継税制は法人だけでなく、個人事業主も活用が可能ですが、ここでは法人に絞ってお伝えしていきます。
事業承継税制とは、非上場中小企業の事業承継に伴う後継者の税負担を軽減し、承継が円滑に進むことを目的として策定されました。
この税負担とは、贈与税、相続税の負担のことです。
経営者から後継者に会社の株式等を贈与、相続する際、多くの場合、後継者に納税義務が発生します。
しかし、全ての後継者が納税資金を用意できるとは限りません。
この納税が後継者に重くのしかかり、承継を断念したり、納税資金のために会社の資産を切り売りせざるを得なくなったりする場合があります。
承継がされない、会社の資産が減少する、では、会社は生き残っていけません。
そこで日本の中小企業を守り、発展させていくことを目的に策定されたものが、事業承継税制です。
事業承継税制では、納税義務のある、贈与税・相続税を猶予する施策が設けられています。
活用するには、まず、会社・経営者・後継者の各人に細かな要件があります。
要件に該当して初めてスタートラインなのですが、この要件がかなり詳細で、また認定されるために必要な提出書類も多くあります。
事業承継税制の適応を受けてからも守らなければならない規定もありますので、専門家と共に活用を検討、実行することをお勧めいたします。
事業承継税制の要件についてはこちらの記事をどうぞ。
大阪事業承継パートナーズでもご相談、認定のお手伝いをしております。こちらよりお問合せ下さい。
【認定までの流れ】
事業承継税制には「特例措置」と「一般措置」があります。
ここではより税負担が優遇されている「特例措置」の流れをお伝えいたします。
「特例措置」が適応できるのは、2018年1月1日から2027年12月31日までの贈与、相続です。
10年間の期間限定の措置となります。
1、特例承継計画を策定する
2、認定経営革新等支援機関に所見を記載してもらう
3、申請書に特例承継計画を添付し、都道府県知事の認定をもらう
4、認定書の写しとともに、税務署へ申請書を提出する
1、特例承継計画を策定する
特例承継計画は認定申請する会社が作成します。
会社の事業内容や経営者・後継者の氏名、承継の予定時期、後継者が株式を承継した後5年間の経営計画等を記載します。
記載例や雛形も用意されていますので、作成は比較的容易だと思われます。
記載例等はこちら
2、認定経営革新等支援機関に所見を記載してもらう
特例承継計画が作成できたら、認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けることが必要となります。
認定経営革新等支援機関とは、中小企業の支援に関する専門知識や実務経験が一定以上ある個人や法人等で、経済産業省が認定する機関です。
商工会議所や金融機関、税理士等がそれらにあたります。各都道府県に多くある機関ですので、ご安心を。
なお、提出期限は2024年3月31日までとなります。
認定経営革新等支援機関はこちら
3、申請書に特例承継計画を添付し、都道府県知事の認定をもらう
認定経営革新等支援機関に所見の記載をもらった特例承継計画を申請書に添付し、都道府県知事の認定を受けます。
提出書類は申請書のほか、定款の写し、株式名簿の写し、登記簿証明書等と多岐に渡ります。
提出先は会社の所在地を管轄する都道府県庁です。
認定申請の提出期間は
贈与:贈与年の10月15日〜翌年1月15日まで
相続:相続開始日の翌日から5か月を経過し、8か月以内まで
となります。
4、認定書の写しとともに、税務署へ申請書を提出する
都道府県知事の認定を受けた後は、その認定書の写しとともに税務署へ申請書を提出します。
この時、相続時精算課税制度の適応を受ける場合には、その旨の記載が必要となります。(贈与の場合)
【まとめ】
事業承継税制は適応されると、税負担面においてメリットが大変大きく、会社や後継者には魅力的なものとなります。
しかし、要件が厳しいこと、提出書類が多いこと、期限が限られていることなどから認定のハードルは低くはありません。
事業承継税制の認定を受けてからも、長期に渡り一定の決まりを守らなくてはならないことなど、複雑な制度でもあります。
また、納税義務が免除されるわけではなく、あくまでも猶予です。
もし認定から外れるようなことが起きれば、納税義務が生じますので、要件に該当したとしても、長期の計画が必要です。
(認定された際は「猶予」ですが、要件を満たしながら経営を続けていれば、最終的には「免除」を受けられます。)
事業承継税制を検討される方は、専門家とともに計画を立て、活用されることをお勧めいたします。
次回の記事では、認定された後、認定から外れないよう、納税猶予を続けていくための要件と免除についてお話ししたいと思います。
本日もお付き合いありがとうございました。
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