資金調達 ーエクイティファイナンスー
こんにちは。
大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。
早いもので、もう12月! 2022年も残すところ後わずかですね。
皆様もお忙しい日々を過ごしておられると思います。
中でも経営者の皆様は、1年の振り返りや、今後の会社の成長を思い描いている方も多のではないでしょうか。
本日は、会社を経営するにあたって、必要不可欠である、人・もの・お金の中から、お金に関するテーマである「資金調達」に焦点をあてて、お話をしていきます。
よろしくお願いいたします。
【はじめに】
資金調達とは、会社を経営するにあたって必要となる運転資金を外部から調達することです。
会社を経営するには、設備投資や給与の支給、債務の返済等が必要となってきます。新規事業を立ち上げ、会社を成長させる際など、自社の資金で不足する場合は、外部から資金を調達する必要があるでしょう。
資金不足により会社成長のチャンスを逃すわけにはいきませんね。
そこで、必要なお金をどのように調達するのか(資金調達)、まずは、資金調達の概要と種類について、代表的なものを見ていきましょう。
【資金調達の概要】
資金調達には、大きく分けて、エクイティファイナンスとデットファイナンスがあります。
エクイティファイナンスとは、募集株式の発行などにより資金調達される株式資本のことで、「株式」を意味します。
デットファイナンスとは、銀行借入や社債発行などにより資金調達される他人資本のことで、「負債や借金」を意味します。
大きな違いは、返済義務や返済期限があるか、ないか、です。
エクイティファイナンスは、主に株式を新しく発行する(増資)対価として株主から出資を受けますので、株主に出資金を返済する義務も返済期限もありません。
一方、デットファイナンスは、簡単にいえば、融資です。融資は借金ですので、返済義務、返済期限があります。
【資金調達の種類】
エクイティファイナンス
・新株発行
・自己株式の売却
デットファイナンス
・社債発行
・銀行借入
・個人借入
・補助金や助成金(返済が必要な場合)
等があります。
資金調達の種類は様々ですが、この記事では、エクイティファイナンスのうち「新株発行」を取り上げたいと思います。
【エクイティファイナンス・新株発行】
①新株とは
新株とは、会社が事業に必要な資金の調達を行うために、新しく発行する株式の事です。
株式を発行する対価として、出資者から出資金を受けることになりますので、返済は必要ありません。出資者は株主となり、議決権を持つことになるため、経営に関与することが可能となります。
新株を発行すると、会社の資本金が増加しますので、貸借対照表では純資産の部にはいります。
②発行方法
「誰に対して株式を発行するのか」、という違いで3つの方法があります。
□第三者割当増資
特定の第三者に対して株式の割り当てを行う方法。
割り当てられる者がすでに株主である場合であっても、全ての株主に対して平等に割り当てられるのでない限り第三者割当増資になります。
□株主割当増資
全ての既存株主に対して(株主名簿上の株主全員)、各自の保有する株式の数に応じて株式を割り当てる方法。
□公募増資
一般の投資家に対して広く出資を募集し、応募してきた人に対して株式を割り当てる方法。主に公開会社が活用する。
③中小企業における第三者割当増資
中小企業の場合、定款で株式の譲渡の制限を設けていることも多いと思います。これは、経営権を守り、経営を安定させる為、所在の分からない株式が存在しないようにすること、また、会社の知らぬところで株式が分散してしまうのを防ぐことを目的としています。
そのため、中小企業においては、会社側で選択した「第三者」に株式を割り当てる方法での増資(第三者割当増資)を利用されることが多いと思います。
④新株発行にあたっての留意点
・持ち株比率の変動
第三者割当増資、公募増資は既存株主の持ち株比率が変動します。
持ち株比率により、株主が行使できる権利の内容が異なります。会社経営に関わらない人に、会社の意思決定に影響を及ぼせる割合の株式を与えないように注意が必要です。
持ち株比率と株主が行使できる権利の内容についてはこちらの記事をどうぞ。
・株価の低下
新株発行により、発行済株式数が増加すると、当期純利益との関係での1株あたりの価値が下がります。
そのため、既存株主への配慮が必要となります。
・発行数
新株を発行するにあたっても、発行済株式との合計が、定款に定める発行可能株式総数を超えないよう、注意しなければなりません。
発行可能株式総数を超えて発行しようとする場合には、定款変更が必要になります。
【まとめ】
本日は資金調達の第1回目として、エクイティファイナンスの「新株発行」を取り上げました。
新株を発行する際には、会社法等に定められている種々の手続きを踏む必要があります。発行しようと決めてすぐに発行できるものではないので、余裕をもった準備期間が必要です。
また、法律上のルールに則った手続きを踏まなければ、発行が無効になるなど、トラブルの可能性も含んでいます。
増資をお考えの方は、専門家に相談されることをお勧めいたします。
次回の記事では、資金調達のデットファイナンス「社債発行」についてお話していこうと思っております。
本日もお付き合いありがとうございました。
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