「従業員承継」① メリット・デメリット

 こんにちは。

 大阪事業承継パートナーズ コンサルタントの岡本です。

 寒いですね!一気に寒くなりました。皆様、お元気にされていますか?年末にかけて、お忙しい方も多いかと思います、ご自愛下さいね。

 

 

 本日は「従業員承継」について、お話しさせて頂こうと思います。

 

 

 「従業員承継」とは、自社で働いている親族以外の従業員や役員の中から後継者を選び、事業を引き継ぐ方法です。

 「社内事業承継」ともいわれ、業承継の手法のうちの1つであり、他には「親族内承継」や「M&A」もあります。関連記事はコチラ

 

 一昔前の中小企業では、経営者の子供が引き継ぐ「親族内承継」が比較的一般的だったと思われますが、少子化で経営者の子供の数が減っている事や時代の流れにより子供の価値観・考え方が変化しており、親とは異なる職業に就く子供も増えています。

 「親族内承継」が当たり前ではない社会情勢に変化しているということです。

 

 そこで、事業承継の3本柱のうちの1つ、「従業員承継」も今後、中小企業の存続に光をもたらすものになると思われます。

 

 

 では、従業員承継のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

【メリット】

 

◆会社に詳しい人に承継できる

 これは最大のメリットとなります。従業員や役員は会社の業務や現場を熟知していると思われます。その為、スムーズに事業を継続できる可能性が高いです。

 また、取引先や従業員にも理解が得られやすいという利点もあります。

 

◆後継者の育成に時間をかけられる&多くの候補者から選べる

 従業員であれば、日々の業務をこなしながら、中間管理職や経営者としてのマネジメントまで時間をかけて学ぶことができます。そのうえで、経営者としての素質があるのか、長い時間をかけて、吟味することも可能です。

 加えて、そのような従業員が複数名いたとしたら、選択の幅はグッと広がります。

 「親族内承継」を選択した場合、経営者の子供を含めた親族の中から後継者を決定しますが、その後継者に必ずしも経営者の素質があるとは限りません。「親族内承継」は10年程度の歳月をかけて、実施する会社も少なくありません。

 

◆企業文化を維持しやすい

 「従業員承継」であれば、会社の事をよく知っている人が後継者になるとこから、企業文化にも深い理解があるでしょう。もともと、会社の文化に共感した上で雇用されているでしょうし、長年勤務していれば、企業文化も十分に浸透していると考えられます。

 「M&A」によって、第三者へ会社を売却する場合、企業文化や風土の融合が難しく、時間も要しますが、そのような心配が基本的にはないことから、スムーズに事業承継が行われる可能性が高いです。

 

 

【デメリット】

 

◆後継者によっては株式取得の資金が用意できない

 こちらは、「従業員承継」の際によく問題となります。

 法人が「従業員承継」を実施する場合、何らかの形で、後継者である従業員に株式を取得させなくてはなりません。

 取得方法は大きく分けて2つです。

①買取る

②贈与を受ける

 

 株式評価は、事業内容・事業年数・規模により様々ですが、中小企業であっても、株式を買い取るのなら、数億~数十億円かかることも少なくありません。

 従業員として会社から給与をもらっているだけだった後継者には、株式取得のハードルは大変高いものとなります。

 ※このハードルを下げる方法はいくつかありますので、後日別途記事にしたいと思います。

 

 現経営者から後継者が株式を贈与してもらうケースもあるでしょう。しかし、こちらにも税金や現経営者の親族の遺留分など、考慮しなければならない点があります。

 ※こちらも後日別記事にて。

※遺留分とは、相続人の最低限の相続分のことをいいます。

民法では相続人(遺族)の法定相続人としての権利や利益を守るために、特定の相続人が相続できる最低限度の相続分を「遺留分」として規定しています。これは、例えばですが、遺言により全財産を親族以外の人に遺贈させると書かれていた場合、被相続人の配偶者や子供が生活できなくなる可能性もありますよね。それを防ぐための制度となります。

 

◆親族からの反対がある

 これまで家族だけで守ってきた会社の場合、親族からの反対は、当然に起こり得ます。たとえ、後継者候補が誰よりも会社の事を熟知していたとしても、会社を他者に譲ることに難色を示す可能性があるでしょう。

 親族へ十分な説明を行い、納得してもらう必要があります。

 また、先程②で挙げた、親族の遺留分ですが、もし、現経営者の財産の大半が株式であった場合、事業承継に必要な株式を他人である後継者に譲渡してしまうことで、親族の遺留分を侵害してしまうことも考えられます。このような状態を好ましくないと考える親族から反対される場合もあるでしょう。

 

 

 

 いかがでしょうか。

 本日は「従業員承継」のメリット・デメリットをお話させて頂きましたが、事業承継とは、どれを選択しても難しい側面がありますよね。

 ですので、なるべく余裕をもって準備に入りたいものです。

 長期の計画になればなる程、事業承継の選択肢は増えていきます。

 

 少しでも自社の将来が心配になられた方がおりましたら、是非、大阪事業承継パートナーズへお気軽にご連絡下さい。

 

 次回は、「従業員承継」で起こりがちな問題点などについて、お話ししようと思っております。

 本日もお付き合いありがとうございます。

 

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